食事の前の「いただきます」
食事の前の「いただきます」は、「命をいただきます」という意味もなく、日本の伝統でもないそうです。
戦後の学校給食制度が始まったときに、「いただきます」をみんなそろって食べ始めるためのあいさつとしました。『いただきます』というあいさつは、戦後のしつけとして始まったようです。
「仏教の教えでは……」と解説する人がいますが、学校給食制度が始まる前の世代の高齢者は、そんなあいさつすら知らないそうです。お坊さんのお話も創作が上手ですから。
このあいさつは、おそらくキリスト教徒が食事前にお祈りする習慣を日本風にアレンジしたものと考えると「神様からいただきます」という意味が正しいのではないかと思います。まあ、あまりこのあいさつに深い意味は含まれていないようです。
さて、「『いただきます』の本当の意味は、あなたの命を『いただきます』という意味だ」と説明をする人がいます。2006年にラジオ番組のパーソナリティが、「給食費を払っているのだから『いただきます』と言わせないで」という投書についてコメントした内容から来ています。
その作り話が食育の関係者の間で広がっていったようです。それまで誰も話題にしていなかったことが、今では常識かのように語る人がいるほどです。デマは事実よりも速く広く伝わる典型的な例でしょう。
どちらにしても、育ててくれた人や調理してくれた人などいろいろな人が関わっていることの感謝は、忘れてはいけません。感謝の気持ちをもって、食事をいただくことには異論はないと思いますが、日本の伝統と呼べるものではありません。「本当の意味」と語れるほどの歴史がないのです。
「先生、いただきます。 皆さん、いただきます」とあいさつをしてから給食を食べる地方もあるようですが、「命をいただきます」が本当だったら、怖い話に早変わり。毎日がホラーです。
