タブインターフェース
Windowsのアプリケーションソフトで、ドキュメントを複数開くときに、立ち上げたソフトのウインドウ内で複数のドキュメントが開くものと、ドキュメントごとにウインドウが開くものなどの種類があります。ウインドウ内に複数のドキュメントを扱うものをマルチドキュメントインターフェース(略してMDI)、ウインドウに一つのドキュメントしか扱わないものをシングルドキュメントインターフェス(略してSDI)といいます。
具体的には、メモ帳やペイントなどファイルを複数開くと、それぞれにメニューがついているものがSDIとなり、ワードやエクセルなどファイルを複数開いても、一つのウインドウしか開かないものがMDIとなります。タスクバーの表示もSDIはファイルごとで、MDIはソフトごとになります。ただし、Office2000以降、ワードやエクセルはMDIでありながら、タスクバーにはファイルごとに表示できるようになりました。
Windows3.1時代は、大型アプリケーションソフトは、MDIが主流でした。おそらくメモリーの節約などの理由でしょう。SDIでも内部ではソフトとしてひとかたまりにしてメモリーの節約をしているソフトもあります。MDIはAlt+Tabで切り替えるとき、ソフトとして切り替わるので、ソフト内でドキュメントを切り替えたいときは、Ctrl+Tabなどを使うことになります。逆にSDIで多くのドキュメントを開いているとAlt+Tabで同じソフトのアイコンが多数並ぶことになります。この煩雑さとソフトとしてのまとまりで、SDIとMDIの好みが分かれます。Windowsのエディタの世界では、MDIとSDIのどちらが優れているかという論争がよく巻き起こりました。SDIといえば秀丸やWzEditorなどで、MDIといえばQXやDanaなどとなります。
ブラウザソフトは、タブインターフェースを備えたものが登場しました。ブラウザは複数のサイトを開きながらブラウズすることが多いので、MDIでもSDIでもウインドウが多くなると不便です。Operaが最初かどうかわかりませんが、タブでドキュメントを切り替えることができる、使いやすいインターフェースで注目されました。今では、FirefoxやIEまでもがタブインターフェースを取り入れています。そのインターフェースは、エディタの世界にも入り込み、Sakura EditorやMifesもタブインターフェースを取り入れました。
統一性のないWindowsと比べ、マックは、立ち上がるソフトは一つで、ドキュメントごとにウインドウが開きます。MDIのような感覚です。ドックとタスクバーを兼ねたようなインターフェースにもなっていて、操作に一貫性があるのはマックの洗練された部分なのかもしれません。そのマックの世界にもタブブラウザは進出し、同様にエディタにもタブインターフェースを取り入れたmiが登場しています。
もともと、タブは、オプションの設定画面などで多くの項目を種別ごとにまとめ、ウインドウを閉じたり開いたりすることなく数多くの設定項目にアクセスしたい場合などに利用されてきました。エクセルやロータス1-2-3は、ファイルにシート1枚だったのが、複数のシートをまとめて保存できるようになりました。そのときにタブで切り替えられるようになり、シートをまたがった操作があると、それらを一つのファイルにすることで、飛躍的に便利になりました。先進的なワープロソフトであるロータスワードプロにもタブで文書を切り替える機能がありました。
タブインターフェースは、それなりに歴史はあるのですが、ドキュメント管理のインターフェースとしてはまだ発展途中という感じがします。キーボードのショートカットキーも統一されていなかったり、タスクバーでの扱いにも違いがあります。元となったアプリケーションがSDIかMDIかの違いが大きいのですが、Microsoftでは今後MDIは推奨しないとなっているので、今後ますますタブインターフェースは増えていくのではないかと予想します。タブの色分けやタブを右クリックしたときの動作や表示されるメニューなども機能が発展と淘汰の中で試行錯誤し、統一されていくことでしょう。