パワーポイントの匠の技
効果的なプレゼンテーション
パワーポイントなどのプレゼンテーションソフトの普及で、誰でも簡単に効果のあるプレゼンテーションが可能になりました。しかし、パワーポイントでの作成を中心に考え、効果的なプレゼンテーションになっていない例もあります。
プレゼンテーションソフトの活用を授業に例えるなら、教科書ではなく資料集です。教科書は文字が主体で、いろいろなことが書かれています。一方、資料集は、写真や図を豊富に載せ、教科書の内容を深める役割をしています。プレゼンテーションソフトの活用は、資料集みたいなものなので、文字が主体のものではいけません。写真や図を中心に配置し、文字を使うにしても、タイトルやキーワードを配置するだけにします。画面に映される文字が少ないほど、良いプレゼンテーション資料と言えます。みなさんも、眺めるなら教科書よりも資料集ではないでしょうか!?
さらに、授業で、先生が資料集を見ながら説明するのと同じように、発表者の言葉で初めて、そのプレゼンテーション資料が生きてきます。プレゼンテーション資料が「主」になってはいけません。ビデオ教材ではないのです。
プレゼンテーションの組み立て方
まず最初に、これからおこなうプレゼンテーションの要点を述べます。結論が先です。次にその理由を述べていきますが、具体例を図やグラフを使いながら説明していくと、説得力のある効果的なプレゼンテーションが可能です。最後に再度自分の言いたいことを繰り返して締めくくります。
デザインの仕方
パワーポイントは、文字を動かしたり色を変化させたりといろいろな視覚効果があります。プレゼンテーションに慣れていない人は、これらの機能を使いたがります。しかし、多用するのは逆効果です。最後の結論部分で一度使うくらいにします。
プレゼンテーションソフトを使用する上での注意点をいくつか挙げておきます。
- 背景には飾りのない白を主体としたもの。文字の色は黒。重要キーワードのみ色を使う。
- フォントはゴシック体で、30ポイント以上の大きな文字を使う。影をつけたりしない。ワードアートなどは使わない。
- 文字を動かさない。アニメーションなどの効果を使わない。
- ページの途中で、何かが増えるようなことはしない。ページが切り替わったら、次のページまでそのままの状態。
- ページの切り替え効果も使わない。
上の条件だけだと、つまらないものに感じるかもしれません。しかし、重要なのは内容です。 表やグラフ等の図表や写真・イラストや動画等、見せたいものを強調するためには重要なことです。
インターネットでイラストも簡単に手に入ります。画面の隅に飾りで入れるのではなく、そのイラストなどが画面の3分の1から半分を占めるくらいが、印象の良いプレゼンテーションになるはずです。
気持ちを伝える
コンピュータは人間の道具です。その道具が活きてくるかは、使う人間しだい。基本は話し手で、それを補助するのがコンピュータとなるわけです。プレゼンテーションでは、気持ちを伝えることがメインだということを忘れないでください。人間が主役です。
- 前を向いて、堂々と話をする。言葉は少しゆっくりにして、はっきり聞こえるようにする。
- 明るくテンポ良く、強弱をつけながら話をする。台本があると単調になりがちなので注意。
- 人間が動くことも大切。身ぶり手ぶりを加える。キーワードを指し示すために、映し出しているスクリーンに入り込んでもいいのです。
言葉だけでは伝えられないことをプレゼンテーション資料で表現してください。上手なプレゼンテーションは、きっと人の心を動かすことでしょう。
「高橋メソッド」と「みのもんたメソッド」
プレゼンテーションソフトを当たり前に使うようになりましたが、逆効果になるプレゼンテーションもときどきあったりします。
古典的な話として、ダメな例は、
- 一つの画面の文字が多い (字が小さくなり読めない)
- 切り替え効果を使う (目が疲れる)
- 切り替えたあとに文章が増える (集中できない)
- 文字が動く (文章が落ちてくるのは最悪)
- 背景が凝っている (背景に目がいってしまう)
- 無意味なイラストが入っている (余計な思考が加わってしまう)
ネット上ではいろいろなプレゼンテーション技法が紹介されています。図や写真、グラフをわかりやすく使用することも効果的なのはもちろんですが、よりインパクトを与えるためのプレゼンテーション技法があります。
高橋メソッド
大きな文字で、要点となるキーワードを表示する手法です。ポイントを絞り込むのは案外テクニックが必要で、簡単そうで難しい手法です。キーワードを見ながら話を聞くことになるので、聴く側はわかりやすく感じます。
みのもんたメソッド
みのもんたが某番組で使っている方法で、キーワードを隠し、それをめくっていく手法。ただし、パワーポイントの過去のバージョンでは装備していない機能です。空欄の言葉を考えようとするので、キーワードに注目させる効果があります。