インデントと透明罫線
タイプライターがほとんど普及しなかった日本では、書類に手書きで文字を書くことが普通です。書類は罫線で区切られ、指定された枠に手書きで書き込みます。欧米では、タイプライターが普及していたので、罫線で区切ることはなく、インデント(字下げ)を利用して、必要な項目を列挙しています。
現在もっともよく使われているワープロソフトは、マイクロソフト社のワードです。アメリカで使われていたものを日本で導入するときに、最初のバージョンには罫線や表の機能はありませんでした。日本人は、ワープロを使えば罫線の必要はないという発想をしなかったので、日本ではまったく売れませんでした。コンピュータの都合でしきたりを変えたりしません。結局、日本で売り込むために、あとから表の機能を追加しました(欧米の文書で表が入るようになったのは、日本からの逆輸入です)。
昔、主流だった一太郎というワープロソフトは、「清書マシン」と呼ばれていました。一度手書きで書類を作ったあと、コンピュータに向かってそのとおりのレイアウトで文字を並べていくという作業をしている人がいるほどでした。そのため、スペース(空白)で、レイアウトを調整していました。ワードとは逆に、当時はインデント機能がなかったのです。
ワードに移行しても、コンピュータの都合でしきたりを変えたりしません。インデント機能は見なかったことにして、スペースでレイアウトを調整する人が、今でもいます。
スペースでレイアウトした文書を修正するときに、コピー&ペーストで不要なスペースが残ることがあります。スペースは目に見えないので、気付かないままになることがあります。インデントを利用すれば、自動で行頭の位置合わせや左右の余白を維持したまま、スペースが混在しない文書をつくることが容易です。
また、日付などの縦ラインを揃えたいときもあります。コンピュータの都合でしきたりを変えたりしません。そんなときは、スペースで位置合わせをするのではなく、透明罫線を使うと便利です。文字の修正が格段に楽になります。