匿名と実名
実名で掲示板やブログの書き込みをする英語圏と、芸能人や専門家以外はほとんとが匿名で書き込みをするアジア圏。
インターネットに対する考え方の違いもあるようで、インターネットを現実社会の一部として考えている欧米では、実名で書き込みをするのは、当然の流れ。一方、日本では、インターネットと現実社会とは別の世界と考える人が多く、別の名前を名乗り(匿名)、さらには別の人格を演じる人さえいます。
一つの理由として考えられるのは、英語圏ではインターネットの進歩や普及はリアルタイムだったので、電子メールのやりとりから始まりました。実名で送りあうのが始まりで、その後に掲示板やブログなどの技術が進歩してきました。匿名を使うと、『臆病者』と言われさえします。
ところが日本などのアジア圏は、普及が1990年代後半と遅いため、電子メールのやりとりよりも、サイトの閲覧や掲示板の書き込みなどが主流です。新たにインターネットを始める人も、知人との交流がなければ、迷わず匿名にするようです。『名無しさん』に代表されるように、匿名を前提とした掲示板もあります。
個性を重視する欧米では、自分の主張を実名で公開することで、自分を表現する役割をしています。対して、日本では、「出る杭は打たれる」文化があるため、実名は公開せずに、ネット上に流してしまうのでしょう。実名を使うメリットがほとんどないというのが理由のようです。
匿名を使うことで、徐々に無責任な発言が増えてきます。現実社会では言わないようなことも、インターネットでは書き込めてしまうようです。匿名なので、現実の自分には影響がなく、都合が悪くなったら、名を変えてしまえばいいのです。実名の場合は、直接、自己の責任が問われるため、それが抑止力ともなるのと対照的です。
しかし、今更、日本で実名を推奨するわけにもいきません。特に携帯電話の世界では、すでに匿名でないと、防犯上の理由で安全に不安がある社会になってしまっているからです。