日常、紙面での文章では、段落の最初は一字下げをおこないます。ところが電子メールやブログなどの場合は、一字下げをおこなわないことが多いです。その代わりに段落の間に空行を入れます。国語の作文の授業でも、段落の最初は一字下げ、と教わったのになぜその基本を簡単に無視してしまうようになったのでしょうか。
電子メールの書き方のマナーも、手紙の書き方と大きく異なります。これは、コンピュータが生まれたアメリカの手紙の書き方に倣ったものと思われます。書き方のスタイルをそのままにし、中身を日本語に置き換えたもの。季節のあいさつなどの前置きを省いたり、シグネチャを入れたりなどは、欧米のメールの書き方そのものです。
MS-DOSの時代は、行間が狭く、段落に空行を入れた方が読みやすかったのは確実です。作文用紙に書くように、字下げをし、段落間の空行を入れない文章は大変見づらいです。コンピュータの環境が生んだマナーなのかもしれません。今ではディスプレイが大きくなり、横幅があるので、同様に段落間の空行がないと、どの行を読んでいるのかがわからなくなります。
新聞はどうでしょう。共同通信社の記事は、字下げをしています。新聞に載せるときのガイドラインに沿っています。共同通信社が発行している『記者ハンドブック』に従っています。新聞とウェブ上と同じデータを使うために、このようになっているのでしょう。第11版まであった『横書きの方式』を削除したのも、電子化に伴うデータの共有が関係しているものと思われます。縦書き・横書きは、最後のレイアウトで決定するものなので、ウェブ版も含めて、どちらでも通用するようにしているのでしょう。
しかし、海外の、例えばニューヨーク・タイムズでは、紙の新聞は、字下げで段落間の空行はなしで、ウェブ上では、字下げなしの段間の空行ありとなっています。コンピュータ上で文章を書くときに、文ごと入れ替えたりの推敲をするときに、空白があると扱いが少しだけやっかいになるのですが、逆にコンピュータなのだから自動で字下げや空行入れをすればいいわけで、おそらく元データは同じだと思います。
利便性を考えるなら、データとしては字下げなしで、あとはスタイルシートで処理してしまうのがいいのでしょう。印刷するのが目的の文章なら、ワードなどの「本文」のスタイルでインデントを設定すれば良いだけです。
ウェブ上では、スペースでレイアウトをしないというのは常識ともいえることです。そのなかに字下げも含まれるのではないでしょうか。全角スペースによる字下げは、過去のものといってもいいのかもしれません。
テレビなどで明治時代の古い新聞を読み上げるシーンがありますが、当時の新聞は、誰かに話しをしているように、長々と段落などないかのように書き綴ります。おそらく段落という概念すらなかったのでしょう。
明治時代に欧米の書籍を目にするようになり、字下げが少しずつ広がっていきました。急速に広がったわけではなく、昭和の1940年代でも混在している状態。字下げをするということは、段落を意識するということで、文章の構造化が進んだということでもあります。
欧米の新聞はかなり古いものでも、字下げをしています。プロポーショナルフォントなので、幅はなんともいえませんが、半角で3文字くらいでしょうか。中国では、なぜか2文字下げのようです。確かに欧米の字下げの雰囲気に近いですね、
1960年代後期にコンピュータ組版が広がっていくときに、システムを使うことによる統一がされていきました。この頃にはほぼ字下げは定着したようです。
辞書で「段落」を調べると「長い文章を内容などからいくつかに分けた区切り」とあります。長い文章でなければ、段落の字下げは不要ということになります。例えばタイトルとか前文などは、段落ではないので字下げ不要です。